僕の冒険用インベントリ

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政治経済書

EU危機の本質とそれを乗り越えるために必要なこと

ユーロ危機とギリシャ反乱 (岩波新書) ユーロ危機の本質は実は国家ナショナリズムにあることをはしなく露呈する内容である。 本書はギリシャ左派政権の行動を「反乱」と刺激的な言葉で形容するが、本書の要旨はEUという枠組みは過渡的な段階にあり、いまだに…

今日の金融不安の構造をわかりやすく解説している好著

時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか 著者は冒頭で今日の世界経済の構造的不具合を簡潔に整理する。 その要点は3つ。 1)銀行危機 世界中の銀行は身の丈以上の信用供与をしており、危機回避のために国家の監督官庁は銀行の融資に対する自己…

金融規制は金融危機を防げるのか?広汎な事例を元に金融規制の効果を斟酌する一冊

金融危機とバーゼル規制の経済学: リスク管理から見る金融システム 著者は国際決済銀行(BIS)支払い決済システムとバーゼル銀行監督委員会の委員を務めたことがあり、国際金融規制の実務に近かった人物。 本書はリーマンショックのような金融危機は金融規制…

国際金融の深奥に屹立する象牙の塔。各国の金融政策を支配し、莫大な利益を上げる世界最強の銀行の正体

BIS(ビーアイエス)国際決済銀行 隠された歴史 世界の金融政策において主要なプレーヤーとして注目されるのは各国の中央銀行総裁、そしてIMFや世銀などの国際機関だ。 だが各国の金融政策により直接的な影響を与える立場にありながら、一般にはほとんど知られ…

自衛隊を巡る環境をわかりやすく解説する

自衛隊史: 防衛政策の七〇年 (ちくま新書) 警察予備隊の創設から始まる自衛隊の歴史についてわかりやすくまとめた一冊。 一般的な軍隊と自衛隊の違い、平和憲法との関係、日米同盟と国内政治、防衛政策など自衛隊の70年間を丁寧に追っていく。

揺籃の中で生まれ変わる欧州

揺れる大欧州――未来への変革の時 欧州の現況の混乱について一通り憂慮を示した後、EUがそれでも存続すべきだと論じる内容。 欧州の対立や矛盾について、政治経済、気候風土、安全保障にいたるまでかなり多岐にわたって論じている。 そのうえで欧州という枠組…

デモ充という弊害

「反戦・脱原発リベラル」はなぜ敗北するのか (ちくま新書) 左翼運動がデモの中で新たな広がりを見せているが、それは実際には社会から遊離していく。 そうした矛盾した在り方に批判を加え、改めて国民に運動をどう根づかせていくかという課題として提示する…

バブル崩壊の道筋を詳しく辿る良質なドキュメンタリー

検証 バブル失政――エリートたちはなぜ誤ったのか バブル経済の発生と崩壊についてとくに政策当局者である日銀や財務省の側から見ていく内容。 とくに繰り返し強調されるアメリカ政府の圧力はバブル経済が一方で外交問題としての側面があったことも窺わせる。…

公正で適正な介護ビジネスが必要とされている

介護ビジネスの罠 (講談社現代新書) この本に書かれている介護ビジネスの実態は恐るべきもので、法令遵守どころか常識的な倫理観さえ欠如した事業者が多いということを赤裸々に記している。 著者はこうした違法で質の低い介護ビジネスに対して行政の対応が十…

おそらく主張には賛否両論ある。だがとりあえずリーマンショックに当たった金融当局者の声としては重要

ガイトナー回顧録 ―金融危機の真相 どうしてベアスターンズを救済し、リーマンは救わなかったのか。本書の要点はそこに尽きるだろう。

低成長時代の資本主義の救世主となるかも知れない「減価する貨幣」

シルビオ・ゲゼル入門―減価する貨幣とは何か 本書は日本ではあまり知られていない経済学者シルビオ・ゲゼルの経済理論を一般向けにわかりやすく解説する一冊である。 シルビオ・ゲゼルはその特異な経済理論が強調されるが、一方で彼の減価する貨幣は期間と地…

戦争を食い物にしていたアメリカ金融界と企業

国際金融同盟―ナチスとアメリカ企業の陰謀 第二次世界大戦中アメリカの金融界や産業界の代表的な企業がナチスの戦争遂行に協力していた事実をつまびらかにする一冊。