僕の冒険用インベントリ

個人的な持ち物を紹介するブログサイトです

東洋経済はしかしamazonの真の野望を知らない

週刊東洋経済 2016年3/5号 [Amazon特集]

 

 今号の東洋経済は僕らのamazon特集。 もはやECサイトとしてその存在感を無視できないamazon東洋経済はどう切り込むか。 届いた瞬間からわくわくして読んだ。   

 

  ◆◇◆

 

 まとめ方としては東洋経済らしいと思う。 広く広く見通しの良い俯瞰した記事になっている。 ただやはりamazonという企業に謎が多いせいか、さすがの東洋経済もいまいち踏み込めていないような外様性の感じられる記事のように思う。amazonの消費者至上主義的哲学の真の狙いを解剖しているとは言えない気がする。

 

 amazonは物流から何からおそらく全てを作り変える可能性がある。 そのためにamazonは破壊者として貪欲に振る舞っている。 amazonの野望は生活を合理的で効率的にすること、そしてamazonという合理性を顧客にチョイスさせることである。 amazon現代社会においてあらゆる人間が最終的には消費者になるということを熟知している。 だから消費者がその合理性に満足すれば、ほかのamazonの受益者である出品者やメーカー、物流業者、そして従業員あらゆる人が最終的にはそれに合意せざるを得なくなることをわかっている。

 amazonの目的は自らが生活に入り込み、その一部となって最終的には消費者と共存関係を築くことにある。 そのために徹底的な合理化と顧客満足度を追求し、出品者やメーカーの社員もその合理性を受益することで、その論理に巻き込まれてその流れに抗えなくなる、そういう流れを作ろうとしているように見える。

 どういうことか。

 

 amazonのサービスはマクドナルドに似ている。 マクドナルドはファストフードという新しいスタイルを確立し、消費者の生活に浸透した。 マクドナルドに対する不信感やその不健康性や資本主義的食文化に対する敵愾心は消えないが、一方でこの新しいファストフードというスタイル、ドライブスルーという販売方法などは生活に一定程度溶け込み、そこにはなにか問題があるということは皆わかりつつ、結局は大多数に受け容れられた。 amazonも同様のことをもっと大規模に実現しようとしているように思う。

 「日常を支配する注文革命」という記事でamazonがショッピングを生活そのものの中に浸透させてしまおうとしている様を描いているが、おそらくそれはまだ序の口に過ぎない。

 amazonが生活に浸透していくと今度はamazonは消費者から物を逆に仕入れようとするようになるはずだ。 実際amazonのサービスの一部はすでに消費者を同時に出品者とするような双方向性のあるものが実現され始めていて、kindle direct publishingやマーケットプレイスへの出品、amazon自身の買い取りサービスなどが始まっている。 こうしたサービスが進化していけばamazonはいずれ出版社や卸売りを介さなくても直接生産者や作家、工場などから物を仕入れ、不要品のリユース事業なども直接行い、消費者に恩恵をもたらすはずだ。

 そこではしかし古い流通の枠組みは一度破壊され尽くされてしまうかもしれないが、そうした人々もamazonのシステムの中に最終的に収まることで受益者に転化できる、そうamazonは主張しているように思える。

 

    ◆◇◆

 

 全ての人がamazonの消費者となり、同時にamazonを通して日々の糧を得るような社会。 現代社会が最終的には消費という一点に集約する限り、amazonの野望は夢に終わらない可能性がある。

 だがそのためにamazonには一つだけ破れない掟がある。 それは顧客にとってamazonが合理的であるということ、効率的であるということだ。 これが守られている限り、実際消費者は最終的に自由意志によってamazonを選んでいくことになる。

 だからamazonがエンドユーザーに注視するのは今のところきわめて合理的だ。 そしてもしamazonが既存国家以上に富を公平に分配できるシステムを流通を通じて作り上げることができたら、そこでいよいよこの世界の在り方そのものの正当性が問われることになる。 いまやほとんどあらゆるものが商品として消費可能である現代社会で、消費に深く関わっていくことは必然的に国家統治との緊張関係を形作らざるを得ない。 なぜなら現代社会において消費はほとんど唯一の価値創造の根拠となりつつあるからだ。

 

 価値創造の力を奪われた国家に人々はそれでもなお魅力を感じることができるのか、私にはわからない。

 

週刊東洋経済 2016年3/5号 [Amazon特集]


  1. 大学受験参考書
  2. AudioSound @ wiki
  3. The amazon review
  4. amazon loves me
  5. 【初心者プレイ】ウイニングポスト8 2015 S26「三たび立ちふさがる!菊花賞」
  6. 海外戦没者と向き合う必要性を改めて思い起こさせる
  7. 【初心者プレイ】ウイニングポスト8 2015 #37「皇帝不在!宝塚記念」