【カナル型イヤホン CollectionAudio DZAT-DR10 レビュー】あたたかみと躍動感のある音が魅力的だが、若干音割れするところがある
CollectionAudio 高音質 カナル型 イヤホン ヘッドホン マイク 付き 調節可 音楽 遮音 シルバー DZAT-DR10
白とシルバーの落ち着いた色合いにアクセントとして各イヤーピース外側に青と赤が配色されている。 全体として軽量なイヤホン。 音漏れはそれなりに大きいが、反面遮音性はそこそこあり、環境音はだいぶ低減される。
本機独特の機能としては音質調整機能が付いており、高音重視/標準/低音重視と音質を若干変化させることができる。
【1】外観・インターフェース・付属品
イヤーピースの替えは付属しない。 少なくとも当方の個体はよく確認したが最初からついているイヤーピース以外はない。 ケーブルコードのノイズは普通。 それほど目立ちもしないが、ノイズは明確に混ざるので気になる人には不快かもしれない。
【2】音質
※前述のようにこのイヤホンは音質調整機能で音味が若干変わるため、以下のレビューは標準状態での使用を前提にしています。
全体として温度感が強いあたたかみのある音。
フラットに近く、高音の素直な伸びと突き抜け感、しかも刺さらない感じとそこそこ迫力ある低音のバランスが万能に聞かせる。 広さもそこそこ感じられ、全体としてバランス重視で自然な味付け。
個性としてはパーカッションが結構活きが良く、しかもボーカルに絡むので曲調によってはその引き合いに面白みがある。 ただ音量が大きめだと中域の音のはじで稀に音割れする。
[高音]:天井を突き抜けるほどよい抜け感とのびやかさがあり、しかも刺さりは強くない。透明感はそれほどないが、代わりに温度感が失われず、あたたかみのある音(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:立ち上がりの良さと密度感が心地よく、素直に良いが、音量を上げると一部の曲で端の当たりの音がなぜか音割れするのだけが残念。
[低音]:ノイズ感はなく素直な振動音。肉厚さがないので存在感はそれほど強くないが、30hzくらいまできれいに振動した音を鳴らし、深掘りされる感じが明確。またキレと躍動感はかなりあるので沈み込まずにしっかり浮かび上がる低音(分島花音「killy killy JOKER」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:低域がどちらかというと締め付けるよりは支える演出に回るので、開放感が強い。方向感も強く、球体状に包まれる感覚がある。そして高域は結構素直に抜けるので、天井は意外に高く上昇感・飛翔感はきれいに出る(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:躍動感とキレがあり、アタック感は強い。リズムの強い曲はパーカッション主導で展開していき、どんどん引っ張っていく(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:ボーカルに分離感はあり、明瞭だが同じくらいパーカッションも分離してしかもボーカルに絡んでくるので、その引っ張り合いが楽しめる。
【3】官能性
分島花音「world's end, girl's londo」はパーカッションとボーカルの引き合いにゴシック風の音楽が豪華さ重視で響いてくる。 ゴシックの重みよりは華やかさ重視で低音が曲調を暗くしないでむしろ音場を盛り上げるので、やたら元気で楽しい。 また音に全体としてあたたかみがあるのもゴシックの陰鬱さを感じさせない。
山崎あおい「花火のあと」のギターはパーカッションのようなアタック感があり、つま弾く音がかなり立体的かつ鮮やか。 ドラムは軽妙で躍動感があり、トランポリンのように上方向へ素直に曲を押し上げる。 ボーカルの温度感は終始あたたかで、そのせいか叙情的で感傷的な儚い感じはなくなってしまっているが、やさしい曲調になっている。 ただクライマックスの胸に詰まる緊張感はない。
petit milady「azurite」は素直に楽しい。 パーカッションとデュエットの引き合いが面白く、パーカッションはほどよく絡みながら燃料噴射するかのようにどんどんボーカルを飛翔させていく。
JOY「アイオライト」もサビのパーカッションとボーカルの引き合いが楽しめる。 ただドラムに重みがないせいか真剣勝負の綱引きにはならず、下から躍動的に支える感じでボーカルを元気づけるエールのような押しの強い絡み具合だ。 また透明感が少ないのでボーカルはかなりハスキーに聞こえる。
南壽あさ子「フランネル」はボーカルの温かみが素直に出て、非常にヒーリング効果の感じられる曲になる。 透明感はあまりないので、まっすぐ染みこんでくるというよりは内側からじんわり広がってくる雰囲気だ。
【4】総評
価格相応の実力は十分あり、とくに躍動的な低音とパーカッションに面白みがある。 また高音のシャリ感のない伸びと突き抜け感はレベルが高く感じられ、大音量でも刺さりにくいのはよい。
一方で中域で不自然な音割れが時々あり、興を削ぐ。 ただこれは音量を下げれば目立たなくなる。 温度感があってあたたかみのある音は素直に癒やしを感じやすく、落ち着いた女性ボーカルの曲などは聞き心地が案外に良い。
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